TX-55 メタルギア(TX-55 Metal Gear)は、メタルギアの正史シリーズに登場する”核搭載二足歩行戦車”で、 兵器シリーズ『メタルギア』の一種。 地球上のあらゆる地形からの核攻撃を可能とする。 1990年代に伝説の兵士”ビッグボス”が率いた 武装要塞国家『アウターヘブン』にて開発が行われた。 開発者は”ロボット工学の父”と謳われた東欧出身の科学者”ドラゴ・ペトロヴィッチ・マッドナー”。
1995年の『アウターヘブン蜂起』の際、 米陸軍の特殊部隊FOXHOUNDによる 『OPERATION INTRUDE N313』に従ってアウターヘブンへと単身潜入したエージェント ”ソリッド・スネーク”によって起動前に破壊された。
名前 | TX-55 メタルギア(TX-55 Metal Gear) |
重量 | 20.5 t[注] |
全高 | 6.05 m[注] |
全長 | 3.25 m[注] |
全幅 | 2.75 m[注] |
最高速度 | 50 km/h[注] |
装甲 | 30~110mm、タングステン装甲+特殊耐熱セラミック[注] |
通常装備[注] |
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核装備[注] |
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乗員 | 1名[注] |
所属組織 | アウターヘブン |
開発者 | ドラゴ・ペトロヴィッチ・マッドナー |
主な登場作品 | メタルギア |
舞台は1995年。後に『アウターヘブン蜂起』と呼ばれる事件が描かれる。 同事件は、米政府が武装要塞国家『アウターヘブン』による新型の大量破壊兵器開発を察知したことに端を発するが、 その兵器こそが核搭載二足歩行戦車メタルギアであり、”TX-55”と呼ばれる個体であった (ただし、作中では単に”メタルギア”と呼ばれ、TX-55の名はユーザーズマニュアル(MSX2版同梱品)にて紹介されている)。 アウターヘブンは、 サイバネティックスの専門家であり歩行兵器開発においても高い技術力を有する科学者”ドラゴ・ペトロヴィッチ・マッドナー”を誘拐、 要塞に軟禁し、同時に彼の娘であるエレンを人質に取ることでメタルギアの開発を強要していた。
やがて米陸軍の特殊部隊FOXHOUNDによって アウターヘブンへの諜報作戦『OPERATION INTRUDE N313』が開始され、 現地へ単身潜入した同部隊のエージェント”ソリッド・スネーク(本作のプレイヤーキャラクター)”によって ”TX-55 メタルギア”は起動前に破壊されることとなった。 同時に、マッドナー親子も彼の手によって救出されている。
破壊にあたって、救出されたマッドナーから メタルギアの在り処(『ビル3』の地下100階)と破壊方法(装甲の薄い脚部にプラスティック爆弾をセット)の情報が プレイヤー=スネークにもたらされる。 爆弾はメタルギアを正面から見た時の方向として『右→右→左→右→左→左→右→左→左→右→右→左→右→左→右→右』という順番で、計16個セットする必要がある。 順番もマッドナーが教えてくれるが、最後の一つ(右)については 『後は忘れてしまった』として教えてくれない(途中で間違えてもダメージが与えられないだけでやり直しにはならない)。
ちなみに、先立ってアウターヘブンへと潜入し捕らえられてしまった FOXHOUNDのエージェント”グレイ・フォックス”によって ”メタルギア”という名称とその兵器に関する情報が FOXHOUND、及びスネークにもたらされている。
舞台は1999年。後に『ザンジバーランド騒乱』と呼ばれる事件が描かれる。 ”TX-55”は4年前の事件で破壊されているため登場しないが、 再びマッドナーの手によってその進化型、後継機として開発された兵器”メタルギア改D”が登場する。 本作のユーザーズマニュアル(MSX2版同梱品)でも、2機のサイズ比較図などが掲載されている。
『TX-55 メタルギア』は、二足歩行を実現するその”脚”によって 地球上のあらゆる地形からの核攻撃を可能とする核搭載戦車である。
『二足歩行戦車メタルギア』というコンセプト自体は 1960年代に旧ソ連の科学者”グラーニン”により既に考案され、 1970年代~1980年代に開発された機体も存在する。 しかし、TX-55の開発者であり”ロボット工学の父”と謳われる科学者”ペトロヴィッチ・マッドナー”は、 彼が得意とする『サイバネティックス技術』を応用した独自のアプローチによって歩行兵器技術を確立している(詳しくはペトロヴィッチ・マッドナーの頁を参照)。 そのため、TX-55はグラーニンによるコンセプトとネーミングは引き継ぎながらも 技術面では他のメタルギア群と別の進化を辿った、いわば”マッドナー型メタルギア”と呼べるような兵器であると言える。
また、TX-55は歴代のメタルギアの中でも特に小型な機体であり、 核発射機構としても長距離ミサイルではなく中距離ミサイルを採用している。 つまり本機で重要視されているのは、あらゆる地形に対応するその”脚”によって実現される”移動可能な小型の核発射サイロ”という点である。 これは、1980年代にサイファーの工作員である”スカルフェイス”が考案した 『全地形を走破できる小型の二足歩行機(ウォーカーギア)に核弾頭を搭載し運搬させる』というシステム(詳しくはスカルフェイスの頁を参照)と考え方が似ており、 これもTX-55の開発に影響を与えている可能性がある。
二足歩行によって発射地点まで核弾頭を運搬した後、 本体の右肩部分に搭載された核モジュールから『多弾頭中距離ミサイル』を発射する。モジュールにミサイルは2基搭載可能。 MG1のユーザーズマニュアル(MSX2版同梱品)によると ミサイル発射時には本体後部より”安定脚”を出して地表に固定することで正確な発射を行うというシーケンスを取るようである。 また、バルカン砲やレーザー・キャノンといった通常武装も充実していることから、 核弾頭の運搬において味方からの援護を受けずとも単独での作戦行動が可能。
発射するミサイルの性能について詳細な情報はないが、 ”多弾頭”と呼称されていることから、1発のミサイルに複数の核弾頭が搭載されて それぞれの弾頭が別々の目標を攻撃する、いわゆる『MIRV(マーヴ)』のような特性を持っていると推測される。
MG1、MG2のユーザーズマニュアル(MSX2版同梱品)等の公式資料において 『TX-55(METAL GEAR)』、『TX-55「メタルギア」』などと表記されており、『TX-55という兵器の愛称がメタルギアである』という扱いになっている。 つまり本機は『メタルギアソリッド(1998年発売)』以降の作品で登場する REX(レックス)、RAY(レイ)、ZEKE(ジーク)などのような 『他のメタルギアと差別化するためのニックネーム』を持っておらず、『メタルギアTX-55』のように呼称するのは正確には誤りである。 同じくペトロヴィッチ・マッドナーが開発した兵器に 『TX-11』という型番のAI兵器が存在することから、 『TX-55』という名称はマッドナーが開発する兵器の通し番号のようなものである可能性が高い。
『TX-55 メタルギア』は正史シリーズとは世界観を分ける外伝作品にも登場している。 正史シリーズと外伝作品の位置づけについては『メタルギアシリーズの分類と繋がり』のページを参照。
本作は当時、MG1(MSX2版)の”ファミリーコンピュータ”への移植作品として開発が行われた作品であるが、 ゲームのシナリオや演出に多くの変更が加えられているため、実質的に『同名の別作品』のような作品となっている。
ストーリーの大枠は原作を踏襲しているため、 本作でもプレイヤー=ソリッド・スネークは 『最終兵器メタルギア』を破壊するという目的で武装要塞国家『アウターヘブン』へと潜入することとなるが、 本体を直接破壊するのではなく、それを制御する『スーパーコンピューター』を破壊するというシナリオに変更されているため、画面上に機体の姿が登場しない。
本作は海外向けにのみ発売された、『メタルギア(ファミコン版)の続編』となる。 この世界線では前作におけるアウターヘブンの事件で登場した初代メタルギアは TX-55ではなく『Metal Gear 1』、『VRC-4(コード番号)』と呼ばれており、 先の事件を生き延びたビッグボスの手によって量産体制が整えられている。 劇中のゲームステージでは大量のMetal Gear 1が安置されているのを見ることができる。 前作(ファミコン版)では姿が登場していないためややこしいが、 原作であるMG1(MSX2版)の”TX-55”に近いグラフィックで登場している。
量産されたMetal Gear 1はプレイヤー=ソリッド・スネークの手によって、 シナリオの前半で輸送していた貨物船ごと爆破され全て破壊されることとなるが、 新たな驚異としてその存在が確認された後継機『Metal Gear 2』を破壊すべく スネークのミッションは続行されることとなる。